志村けん大爆笑展に、私の作ったガラスが展示されると聞いたのは、今年の夏の出来事でした。イザワオフィスのマネージャー様からお電話を頂き、ガラスの展示の件を伺いました。本当に驚きと、もう一度志村けんさんのガラスに逢えると思うと、いてもたってもいられませんでした。
8月〜9月は大阪。10月東京。11月宮城。12月石川と全国を廻ります。どれ程心待ちにしていたかわかりませんでした。余程初回の大阪まで行くべきではないかと思うほど、早く行きたかったのです。
そして本日11月20日。仙台へ行ってきました。土日は感染対策の為、入場制限がありました。チケットを購入した際、てっきり12時から14時までの入場とばかり思い込んで購入していました。バスが遅くなってもギリギリだいじょうぶであろうと思い込んでおりましたら、12時入場のチケットであり、2時までいつでも良いわけではないことを後から理解しました。
万が一、間に合わなかった時の為に次の時間の2時からのチケットも購入しました。帰りのバスもありましたし、入場できないことが心配だったのです。
そして当日、高速バスがついてから迷子になりながらなんとか会場に到着。
やはり、12時の自分の分のチケットの時間を5分ほど過ぎてしまっていました。それでもダメ元でスタッフの方にお声がけすると入場させてくださいました。
会場は志村さんがどれほど【笑い】に対してこだわって向き合っていたのか、本当に胸が熱くなる思いでした。
そしてガラスケースに私の作ったガラスが納められていました。
しかし…ガラスは裏表で展示され、白布の上のため志村さんの表情が浮かび上がりません。
私はとても残念な気持ちになりました。それでもどうしていいかわからず…。
会場の志村さんの展示を見て思ったのです。
作家として作ったものに、こだわらなければならないと思ったのです。作った作品にプライドを持つ。作品に自信を持っていいんだということを感じたのです。そして私は近くにいたスタッフさんに声をかけさせてもらいました。
志村さんのガラスが反対で展示されている旨と、黒紙を敷いて欲しい旨をお願いしました。
スタッフはフジテレビの担当の方に連絡をし、なるべく早く対応をしてくださる約束をしてくださいました。私は勝手に期待していたのです。展示を見に来ることで、自分の中の何かが変わるのではないかと、そう思い込んでいたのかもしれません。
物販コーナーブティックひとみで自分用に、九谷焼の変なおじさんのお猪口とパンフレットを購入し、一度会場を後にしました。
遅いランチをとると、ちょうど2時からのチケットで入場できる時間となっていました。長い入場待ちの列に並んで、2度目の会場入りをしたのです。
すると、どうでしょう。
私のガラスは裏表がなおされ、下には黒紙が敷いていただいておりました。
会場は結構な人が入っていた為、直すことは困難であろうと思っていたのです。それなのに。偶然購入していたチケットでの入場までに、直されていたのでした。本当にありがたくて、そこには志村さんの笑顔がちゃんと浮き出ていました。
私は今まで手元から離れた作品が、どのように飾られるかという部分まで、考えが至っていなかったのです。本来なら黒紙を入れた額に入れるべきでした。どんな風に魅せるのかまで、考えてこそのプロだと思うようなきっかけとなりました。
志村けんさんのテレビを見ていた頃。家族団欒と笑顔が溢れていました。その団欒は今はもう形を変えてしまったけれど、それでも私にはキラキラした想い出です。大切な想いこそ、作り上げる立場になっているからこそプライドを持って、自信を持って作らなければならないと改めて思いました。
志村さんのコントのセリフが木札となったガチャガチャが会場にはありました。
私は『だいじょぶだぁ』が欲しかったのです。お守りになるような気がして、本当に大丈夫になる気がして。それほどまでに実は日常に、色んな思いを抱えて自信をなくしていたのかもしれません。
なかなか…出てもらえなくて。
2度目の入場で気になっていたオリジナルスタンプを作ることにしました。
スタンプのデザインを選ぶことが出来て、そして名前やコメントを入れられるオリジナルスタンプになっていました。
私は1番今かけてもらいたい言葉を、スタンプにしました。志村さんに『俺のガラス作ったんだろ、負けるな!』そう言ってもらえたような気がしたのです。
刻印できる記念小判も、どれもこれも私の宝物です。
辛くなったら、これを見て頑張ろう。
自信がなくなったら、これを見て志村さんのガラスが仕上がった時の喜びを思い出そう。
そうなのです。何も変わらない気がしていたのは、私の認識違いで本当は大きな大きな【愛と自信】をいただいたのです。
人はものを手にした時、購入した後をイメージしたり、いろんな想いを込めて購入することもあるんだなぁと改めて思いました。現在何点かオーダーを抱えております。そのオーダーも一つ一つ、お客様の中にドラマがあるんだろうなぁと作り手としての深みが増すような貴重な体験をさせていただきました。。
そしてもう一度、志村さんのガラスに会わせてくださいましたご家族様。関わられているスタッフの方々には、心から感謝しております。本当に貴重な体験をさせていただきまして、ありがとうございました。