天使の羽音として5年目を迎え、活動は急激に失速しました。
いつの間にか、作れない。作らない・・・活動しない時期が長くなっていたのです。何故なら私の中で、作る事が売る為の手段になっていたからかもしれません。
長いスランプのように見えつつ、一度は廃業も考えていました。
そんな私が再び歩き出そうとしているのは、ある方との出逢いがありました。共通の友人を通じて、今一つのチームとなって歩き始めようとしています。
その方は言いました。私が販売しているのは【物】なのか、【事】なのかと・・・。
ん!?
私の中で【?】が沢山でした。
こうしたい、こうなりたい・・・は自分の中にありましたが、改めて経営戦略とは?をその方から学びました。
【物】なのか【事】なのか・・・同じ販売という行為でも、展開も戦略も異なるという事をはじめて知りました。
ひたすらイベントを組み、展開していた時・・・私はわからなくなっていったのです。
作る事は私の喜びです。でもその作ったモノが商品となってゆく時、商いとなります。それを生業としていた時期もありました。商いをする以上必然と作り続けなければいけなくなります。つまり作りたい物=売れる物でなければならなくなったわけです。
手に取った人を笑顔にしたい・・・手作りの温もりを伝えたいと思っていたはずが、売れるものを作りたいに変わって行ったように思います。だから作れなくなり・・・一度は販売からも離れました。私は挫折したんだと思います。活動をしないという選択は必然とこれまでの開拓した販路も実績もゼロに戻したと同然でした。
【物】なのか【事】なのか・・・その方の投げかけは私の創作の原点を気づかせてくれました。
私が作り完成させた【物】を販売するのか、オーダーで依頼された想いを形に具現化させた【事】を売るのかという異なる面があるコトを教えてもらったのです。私がやりたかったことは【物】を売ることなのか、それとも想い【事】を売ることなのか?考えさせられました。私は人の想い【事】を形にしたいと強く思いました。
原点に戻り再び、歩き始めようと思っています。
出逢った方達の力を借りて想いを刻むガラスを届けるために・・・。そして思うのです。すべて順調で自分の作っているモノや販売につまずかなかったら、原点をこんなに強く思うこともなかったのではないだろうかと。
時に一人で・・・自分の力を過信してしまう時があります。これまで5年という月日を過ごせたのも多くの方々に支えられてきたからこそなのです。すべて順調だったら・・・こんなにも周りの人に感謝する想いやお陰様であるという謙虚さよりも、自分の作品が良かったからと過信し、自分が作りたいものを作るという事にまで陥りかねなかったと思うのです。
何事もご縁があって恵まれて、チャンスを与えてもらっているのです。それを自分の力と勘違いしてはいけないと思うのです。順調なままだったら・・・差し伸べられた手にも気づかなかったと思うのです。思い出にこだわるお仕事だからこそ、大切にしなければならない原点がありました。かけがえのない想いを刻むのです。ガラスという無機質で美しい、むしろ冷たいとすら感じる中に、温もりや優しさを刻むのです。命を吹き込むのです。それは人の生き様のようにはかなげで力強い作品になると信じて。
天使の羽音は同じようにたくさんの商品は作れません。だからこそ一つ一つこだわりを持って、想いを届ける作品を少しでも多くの方に届けたいと思っています。